遺言能力とは?

遺言能力とは?

遺言書作成の鍵『遺言能力』とは?長谷川式スケールの点数と有効性の関係

遺言書を有効にするために絶対に必要なのが「遺言能力」です。
しかし、認知症の疑いがある場合、どのようにその能力を証明すればよいのでしょうか?
実務の現場でよく使われる指標の一つが「長谷川式スケール」です。
今回は、遺言能力の定義と、知っておきたい簡易検査の知識について解説します。

「遺言能力」とは何か?

遺言能力とは、簡単に言えば「遺言の内容と、それによって生じる結果を理解できる能力」のことです。


・自分がどんな財産(預貯金、不動産など)を持っているか把握している
・誰に相続させるか、その意味を理解している
・自分の意思をはっきりと示せる


単に「名前が書ける」だけでは不十分で、複雑な遺言内容(例:土地は長男、現金は次男など)であればあるほど、高い判断能力が求められます。

「長谷川式スケール(HDS-R)」とは?

認知症の疑いがあるかどうかを判断するための、非常に一般的な簡易検査です。
9つの質問に答える形式で、合計30点満点で評価されます。


20点以下:認知症の疑いが高い
21点以上:認知症の疑いは低い

遺言能力があるかどうかは、点数だけで決まるわけではありません。
よくある誤解として「20点以下なら遺言書は書けない」というものがありますが、これは間違いです。
裁判例でも、10点台であっても、遺言の内容がシンプルで(例:妻に全財産)、本人の長年の意向と一致していれば「有効」と認められたケースもあります。
逆に、高得点でも「誘導された形跡」があれば無効になることもあります。

公証役場や裁判所が重視すること

遺言能力を巡るトラブルを防ぐために、遺言書の作成の際には、当事務所では以下を検討します。


長谷川式スケールの点数(あくまで目安の一つですが・・・)
医師の診断書やカルテ(専門家の客観的意見)
遺言内容の複雑さ(内容が複雑なら、より高い能力が必要)

参照:公証役場って何をするの?遺言作成時の証人の選び方

当事務所が行う「遺言を無効にさせない」工夫

「認知機能が落ちてきたけれど、どうしても遺言を残したい」という場合、以下のような対策を講じます。

公証人との事前打ち合わせ

事前に本人の状況を公証人に伝え、当日スムーズに意思確認が行えるよう調整します。


作成当日の様子の記録

必要に応じて、本人がしっかり受け答えをしている様子を記録に残すなどの配慮をします。


シンプルな構成の提案

認知能力に不安がある場合は、争いになりにくいシンプルな文案を提案します。


長谷川式スケールの点数が低くても、諦めるのはまだ早いです。まずは専門家へご相談ください。一番のリスクは、点数が下がることではなく、『点数が下がったことで、相続人同士が疑心暗鬼になること』です。元気なうちに、あるいは数値が安定しているうちに、確実な形で残しましょう。